(つづき)
2日目は、朝から雨。
全く迷うことなく雨プロに突入です。
YMCAの方による「ネイチャーゲーム」と
「自分たちで考えたプログラム」の2つをやりました。
午前中のプログラムが終わるころには太陽も顔を出しました。
お昼にお弁当を配った後、
「昼食後は少し外で遊んでいいよ。
お弁当も外へ持って行って食べてもいいし」
と伝えました。でも、外に出る子は一人もなく、
大急ぎでサンドウィッチをぱくついていました。
早く食べて一刻も早く外で遊びたかったのでしょう。
この時点で、誰もが
「キャンプファイヤーは外で出来る!」と確信しました、が...。
午後の雨プロも入浴も順調に終わり、5時少し前から6年生は
キャンプ場に集まってファイヤーのリハーサルをしました。
新聞紙ゲーム、オリジナルゲームの In the box も終わり、
歌・ダンスの練習を始めたときでした。
雨がポツリポツリと落ちてきたと思ったら、
あっという間に本降りに...。
放送機器にシートをかけ、大慌てでレク棟へ。
このままではファイヤーも「雨バージョン」に。
「どうして!」
「雨が降っても外でやろうよ!」
「最後なのに中なんていやだよ!」
あまりのショックに泣きだす子も何人か。
雨は一向に止む気配はありません。
「さあ、どっちになってもいいように練習だけはしておこう」
と声をかけても、簡単には力が出ません。
「君たちがそんなんじゃ、下級生は絶対楽しくならないよ!
雨が降ったからって楽しくないファイヤーになっちゃっていいの!」
と少しきつ目に言うと、
「いやだ、やる」
「うん、やろう」
と立ち上がりました。
備え付けのCDプレーヤーがなかったので、
「CDかけられないけどどうする?」と聞くと、
「自分たちで歌いながらやります」という返事。
説明係のリードで練習が再開されました。
悔しくて、情けなくて、もどかしくて...、
どんなにこらえても涙が出てきます。
その涙をぬぐいながら、自分たちを励ますように歌を歌い、
振りも付けて懸命に練習しました。
ダンスに関しては女子たちに頼りがちで
今一つ力が入っていなかった男子も、頼みの女子たちが
崩れかけているのを目の当たりにしてしまっては
全力を出さないわけにはいきません。
(今日、このあたりのことを子どもたちに話すと、
「そんなんじゃないよー」と言っていましたが、
私にはこう見えました)
この時、24人の心はしっかりと一つになっていました。
♪ サクラー咲け 僕の胸のなかにー
振りー向くな 後ろには明日はないから
前をー向け
サクラー咲け 君の胸の中でー
負けないようにくじけないように
今 歌うーかーらー
こんなにがっちりマッチした歌を誰が選んだのでしょう。
決めポーズのウエーブの練習は何度も繰り返してやりました。
練習が終わるころには、すっかり気持ちを切り替えることが
できたようで、涙の方は止まっていました。
(雨は勢いを強め、雷まで鳴り始めていましたが...)
私は、子どもたちのこの健気な姿を見て、
「もう、6年生としての目標は達成できた。
こんなにいい子たちを担任できてよかった」
と、この時点ですっかり満足していました。
雨は止むことなく、夕拝もファイヤーも
室内=レク棟でやることになりました。
夕拝が終わり、
司会のIさん、Sさん、Tさんがマイクを手にしています。
「これからファイヤーを始めます」
「イエーイ!!!」
会場は、いきなり熱い空気に包まれます。
まずはじめは、「班で相談しあうし、みんながまとまれる」
という理由で選んだ新聞紙ゲームです。
説明役のKさん、Kさんと他の6年生との息も合い、
盛り上がりながら進んでいきます。
じゃんけんに負けて、2人の下級生をおんぶしている4年生もいました。
次は6年生オリジナルのゲーム「In the box」です。
大きな段ボール箱に6年生が入り、何人入っているかを当てます。
もちろん、6年生は下級生をだまそうと「あの手この手」を使います。
おんぶをしたり、肩を組んで片足で歩いたり、
なんと「偽物の足」まで登場しました。
このゲームの最大の弱点は問題と問題の間が開いてしまう
ということですが、司会者たちのアドリブで見事に埋めました。
台本にはなかったU君、I君の縄跳びやフラフープ、
K君のムーンウオーク、横山先生のマジックなどで、
「間を埋める」にはもったいないほどに盛り上がりました。
3番目は、歌・ダンスです。
ダンスの振り付けは95%オリジナルです。
1回目は6年生全員でお手本を見せます。
次に、サビの部分練習をしました。
いよいよ、参加者全員で踊ります。
前奏が鳴り始めると、もう、みんなの体はリズムに乗って動き始めます。
♪ にぎりーしめた手が~
見ると、6年生は何人も泣いています。
でも、さっきの「悔しい、情けない、もどかしい」涙とは違います。
みんなで心を一つにして踊れる歓び、
後ろを振り向かずに前を向いてやりぬいた達成感、
自分の力、友だちの力、下級生たちの力が合わさった
とてつもなく大きなものを感じたからこその涙です。
彼らは自分たちの力で
♪ 未来なんてさ
すぐに変わる
変えてみせ
24人全員の力で見事にサクラをサカせたました。
健気で、前向きで、優しくて、熱くて、力強い彼らが踊る姿を見て、
めったに涙など浮かばない私の目もウルウルウルウルしてしまいました。
とっくに終了の時間は過ぎていましたが、アンコールの大合唱に応え、
もう一回みんなで盛り上がって歌・ダンスは終わりました。
4番目は点火の儀式です。
美しく可憐な「百合子姫」(ちょっと無理がある?いや、かなり...)が
「魔王」にさらわれてしまったので、「クッスー王子」が助けに行く、
というお話です。
「百合子姫」を助けないと人々は「火」を失ってしまいます。
「クッスー王子」と「百合子姫」が結婚したところで、
キャンドルファイヤーに火が灯りました。
さあ、最後は「6年生一人ひとりからのメッセージ」です。
6年生は、ほとんどの女子と何人かの男子が泣いています。
みんな、一言一言をかみしめながら、自分の思いを伝えていました。
平和学園を象徴するシーンの一つで、こんなにまで全員が尊重され、
認められ、自分を出し、全員で共感しあえる学校は、ほかにありません。
毎年のことではありますが、いつも違った感動と味わいがあります。
キャンドルファイヤーが終わったときも、まだ雨は降り続いていましたが、
その雨を恨めしく思う6年生は、誰もいなかったと思います。
(つづく)
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