『怪盗レッド 1』(秋木真/角川つばさ文庫)
副題に「2代目怪盗、デビューする☆の巻」とある。
13歳になったら「怪盗」をつぐよう父親から言われたアスカ。
いとこの天才ケイとコンビを組み、持ち前の運動神経を生かして
怪盗修業がはじまる。
大男の背中に回って、足のひざ裏を蹴っとばす。
ガクン、と大男の体がよろめく。
「いける!」
『アスカ、ちがう。それは誘いだ!』
えっ。
『怪盗レッド 2』(秋木真/角川つばさ文庫)
シリーズ2冊目は「中学生探偵、あらわる☆の巻」。
怪盗レッドとして活躍するアスカとケイに、
中学生探偵の響が挑戦してくる。
『あと10秒だ……アスカ』
わたしは、ふるえる手をのばした。
『やれ』
ケイの声と同時に、わたしは一方のコードに刃をあてて、
それを…………………………切った。
いとこどうしの中学生が神出鬼没の義賊怪盗、
かわいい女の子が実働部隊でクールな男の子が頭脳役、
という設定がはまって人気シリーズになりそうな予感。
『いつまでもここでキミを待つ』(ひろのみずえ/ポプラ社)
帰宅をためらいサンライズ出雲に乗ってしまった中学3年生の、
日常からのささやかな(本人にとっては大きな)逸脱を描く。
安心して読める正統派YA、というのは形容矛盾か。
「なんだか……毎日をくり返すのがイヤになっちゃったの。
あした、自分が何やるのかわかっていて、
あさって何やるのかわかっていて……
ああ、土曜になったらまた、美術スクールに行くんだなって思ったら……」
「teens' best selections」の26冊目。
主人公の名がムスメを呼んでいるようで、つい買ってしまった一冊。
『おしゃべりな五線譜』(香谷美季/ポプラ社)
美優は中高一貫校で演劇部に所属する中学3年生。
友人、先輩、メールでつながる小学校の同級生たちとの
出会い、交流、衝突のすえ、何もかもがいやになり、
ホームの端を歩いていると...。
友だち関係を象徴する「五線譜=平行線」に和音と不協和音が鳴り響く。
「[前略]一緒にいてくれない味方なんて、なんの役にも立たない、
救いにもならない、まったくの無駄!
むしろ、居ない方がマシっていうくらい![後略]」
「人との距離の取り方って、
どうやったら教えてあげられると思いますか?」
[中略]
「さあ。……その問いに答えがあるとは思えないけど、
少なくとも、私は、それを知るために学校に来ている気がする」
「teens' best selections」の28冊目。
『リリース』(草野たき)
『東京クロスロード』(濱野京子)
『夏の階段』(梨屋アリエ)
など、中高生を主人公にしたこのシリーズには佳品が多い。
そういえば、みんなツイッターユーザーの作家さん。
『おもしろい話が読みたい! ワンダー編』(青い鳥文庫)
青い鳥文庫創刊30周年記念の企画として、
人気シリーズの外伝、番外編のアンソロジーが3冊、
3か月つづけて刊行されている。
その1冊目「ワンダー編」のラインナップは下記のとおり。
松原秀行 「パソコン通信探偵団」
小沢章友 「三国志英雄列伝」
香谷美季 「あやかしの鏡」
藤野恵美 「お嬢様探偵ありす」
はやみねかおる「怪盗クイーン」
本書を読むと、
原シリーズも読みたくなる、読みたくなる、読みたくなる...。
ぼくには、彼が考えていることが、痛いくらいわかる。
力がほしい。強大な力だ。だれに頼らなくても、
自分と自分のたいせつなものを守れるだけの、強い力がほしい。
「怪盗クイーン外伝 初楼 ~前史~」(はやみねかおる)
『おもしろい話が読みたい! ラブリー編』(青い鳥文庫)
アンソロジー2冊目に収録された原シリーズは下記のとおり。
あさのあつこ「12歳」
越水利江子 「ずっときみを愛してる」...新シリーズ開始か?
小林深雪 「泣いちゃいそうだよ」
服部千春 「四年一組ミラクル教室」
令丈ヒロ子 「若おかみは小学生!」
本編を読みたくなった作品、ひとつあり。
全8冊で完結しているので、手に入れて読んでみよう。
みんなに見えているのは、
鏡に映ったわたしみたいに、外側の部分だけ。
本当のわたしは、生身のわたしは、内側にしかいないのに。p.262
「恋はショパンの調べにのって?」(服部千春)
『火群のごとく』(あさのあつこ/文藝春秋)
少年剣士の葛藤と成長を縦糸に、
藩政に潜む内紛をからめて描いた青春時代小説。
全身が慄いた。背中が疼いた。何かを感じた。
意識が束の間、途切れた気がする。
刀を抜き、闇を払った一瞬の後、透馬が路に倒れこんだ。
払った刃が手応えを伝えてくる。覚えのある手応えだ。
人の肉を斬る手応え。
剣の道に励む林弥、道場仲間の源吾と和次郎、
才能あふれる透馬など、登場する若者たちに
『バッテリー』の巧や豪のイメージがオーバーラップする。
著者の時代小説の代表作、
という趣旨の書評を新聞で読んだおぼえがある。
『ヘヴンリープレイス』(濱野京子/ポプラ社)
夏休みにはいってすぐ、引っ越した町を探検していた6年生の和希は
雑木林の廃屋で悩みをかかえる子どもたちと出会う。
年齢のわりに幼い英太、施設を家出した史生、不登校の中学生有佳。
和希は3人が信頼するローシ(老師)に惹かれ、交流を深めていく。
「知っていることがえらいんじゃないんだよ。
知りたくても知るチャンスがなかったのだから。
わからないことは調べればいい。自分で調べるんだよ、史生」
しかし、ローシにつながることでできた子どもたちの世界も、
おとなの論理によってつぶされてしまいそうになる。
ぼくの親は、和希の自由にしなさいといいながら、
必ず道を指ししめす。この道を進むといいと思うのだけれど、
和希はどうしたい? 決めるのはきみだよ。そうして、
親がしめした道を、自分が選んだと思ってこれまでやってきた。
本当はどこかで自分をごまかしているってわかっていたはず。
子どもたちの“ヘヴン”がさわやかに描かれたひと夏の物語、
小学生を主人公にした「ノベルズ・エクスプレス」のシリーズで。
『兄妹パズル』(石井睦美/ポプラ社)
兄ふたりの末っ子、5人家族の亜実は高校2年生。
しあわせな家族と信じきっていたのに、
ある日とつぜん次兄が家出してしまう。
こんなことでいいはずがない。
みんながみんなやさしいふりをし続けていていいはずがない。
ほんとうのことを隠し合っているところに、
信頼とか愛情とか生まれるもんか、と思った。p.179
同じテニス部の親友、サッカー部のあこがれの男子がからみ、
欠けたピースが戻ってくればパズルは完成する...か。
「Webマガジン ブンゲイ・ピュアフル」の連載6回に
同量の書き下ろしをくわえて単行本化。
『ムーVSタクト! 江戸の夜に猫が鳴く 上』
(深沢美潮/ポプラカラフル文庫)
「IQ探偵ムー」のシリーズ15作目。
江戸時代では謎の盗賊ムウが事件に巻きこまれ、
現代では歴史博物館で起きた不思議な盗難事件の謎解きに
ムーとタクトが挑戦する。
「すみません。拝見します」
夢羽が書簡を前に、じっと見つめだすと、
拓斗も横に座り、同じように見始めた。
このふたり、まさかこの文字が読めるんだろうか?
交互に展開する二つの事件がどうつながるか、下巻のおたのしみ。
ストーリーはべつにして、
今は社会科の授業中。
江戸時代の人々の暮らしを勉強しているところだった。
この設定には違和感を感じる。
ムーは5年生。
江戸時代の学習は、ふつう6年生の1学期後半だから。
『星夜に甦る剣』(池田美代子/青い鳥文庫)
青い鳥文庫版「新妖界ナビ・ルナ」の3作目。
ふうりの危機をのりこえたルナとソラウの3人は、
いよいよナナセと対決する。
「さあ、ルナ、かくごしなさい!」
ようやく話したりたらしいナナセが、再度、剣をふりあげると、
ルナへとふりおろしていきました。
シャッ!
一話(一冊)で完結せず、いいところでおわって「つづく」。
連載もののコミックのようで、追いかけるのがたいへん。
それから、あきらかな誤植が2つ、これはいただけない。
『一鬼夜行』(小松エメル/ポプラ文庫ピュアフル)
ジャイブ小説大賞受賞作、
審査員をしていた後藤竜二が絶賛した妖怪小説の新星。
「そこにある幸福を選べば、
人生も妖生も楽しいに決まっているのだろうに……
分かっていても駄目なんだろうな」
『ぼくらは海へ』(那須正幹/文春文庫)
児童文学界に衝撃を与えた30年前の作品、初の文庫化。
ふいに左の足にするどいいたみが走ったかと思うと、
ものすごい力でひっぱられるのがわかった。
[中略]ころぶしゅんかん、左手ににぎった懐中電灯の光のなかで、
高だかとあがる左足にからみついたクレモナロープがちらりと見えた。
児童文学、子どもが読む物とは、
健全で明るく生きる力に満ちたものでなければならない。
そんな既成概念に凝り固まっていた世間には、
この1冊は毒を含んだ異物でしかなかった……のではないだろうか。
あさのあつこ「解説」より
『怪盗紳士』(ルブラン/ポプラ文庫クラシック)
怪盗ルパン全集の2冊目。
正月に買っておいて、先ごろ積読タワーから発掘された本。
この「怪盗紳士」は、原著者モーリス・ルブランが、
はじめてルパンの冒険をかいたものです。
つまり、ルパンは本書で世間にあらわれるのですが、
それが、まずかれが名探偵ガニマールにとらえられるという、
スリル満点の場面からはじまるのです。
「この本を読むひとに」より
「怪盗ルパン全集」は翻訳作品ではなく、
あくまで南洋一郎氏による翻案だったのですね。
ぼくがわくわくしたルパンは、
モーリス・ルブランが創造したルパンではなく、
南氏のルパンだったのだなと、今になって思ったりもします。
貫井徳郎「解説」より
たしかに「原作 モーリス・ルブラン 文 南洋一郎」と奥付にある。
全20巻のうち既刊14冊、はやめにそろえておこう。
『種蒔きもせず』(星野富弘/偕成社)
星野さん最新の花の詩画集。
この花は この草にしか 咲かない
そうだ 私にしか できないことが あるんだ
「ハナニラ」
一枚の作品を描くのも、
今まで自分のいのちを注ぎ込んで生み出していると思っていたが、
それは錯覚だったようだ。
むしろ描いているものから、筆を通して、
喜びや優しさ静けさ強さなど、
生きていく力を私が与えられていたのである。
「あとがき」より
帯に告知されているレターセットプレゼント、
応募締切が7月31日消印有効だということにいま気づいた。



