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2008年12月30日

ひとくち書評16

『怪人二十面相』(江戸川乱歩/ポプラ文庫)

『少年探偵団』(江戸川乱歩/ポプラ文庫)

『妖怪博士』(江戸川乱歩/ポプラ文庫)

ああ、なんという不覚でしょう。
名探偵のわなに、まんまとおちいってしまったのです。


読者諸君は、それがなんのことだか、
もうとっくにお察しのことと思います。
そうです。明智探偵と名助手小林少年が活躍する
江戸川乱歩の少年探偵団シリーズが、
手ごろな文庫判になって出版されていたのです。


読者諸君はよもやおわすれではありますまい。
このシリーズこそ、われらが少年時代にむさぼるように、
そしてきそうようにして読んだ、
あのポプラ社版とまったく同じものなのです。


ああ、なんたることでしょう。
柳瀬茂の表紙絵や目次のデザインがそっくりそのまま
再現されているだけでもおどろくべき大胆さですのに、
そのうえいっきに6冊まとめて刊行され、
さらには映画の公開と読者プレゼントまでついてしまったのです。


ああ、なんという用意周到な計画だったでしょう。
二十面相の魔術には、いつのときも、一般の人の
思いもおよばないしかけが、ちゃんと用意してあるのです。

     ・

     ・

     ・

木造の図書室から借りだして胸おどらせながら読んだ江戸川乱歩が、
シリーズものをつづけて読むおもしろさをあじわわせてくれた少年探偵団が、
背表紙をならべて悦にいるたのしさをおしえてくれた黄金仮面が、
全冊買いそろえいまは実家の書棚にねむる思い出のポプラ社版が、
復活しました。6冊まとめて買って、文字どおりいっき読みです。


帯のコピーには、

  「1億人のベストセラー」
  「今はもう手に入らない旧版のシリーズを忠実に再現」

とあります。

旧き良き時代の追憶にとどまらず、
探偵小説の醍醐味をあじわうことができます。
いまの子どもたちも、きっと“はまる”と思います。


書誌情報をかんたんにしるしておくと、
上の3冊が戦前(太平洋戦争前)の二十面相三部作にあたります。

そして4作目、

『大金塊』(江戸川乱歩/ポプラ文庫)

が戦前さいごの作品で、二十面相が登場しないかわりに、

  ししがえぼしをかぶるとき
  からすのあたまのうさぎは
  三十ねずみは六十いわとの
  おくをさぐるべし

というチョー有名な暗号文が金塊のありかを解くカギとなり、
少年少女の心を(持ったおとなをも)ときめかせてくれます。

この暗号、いまでもそらですらすらと言えるのがふしぎな気持ちです。


戦後、

『青銅の魔人』(江戸川乱歩/ポプラ文庫)

で二十面相が再登場し、以後、シリーズが続々と刊行されていきます。


ちなみに、第6巻であり復活二十面相の2作目となる

『サーカスの怪人』(江戸川乱歩/ポプラ文庫)

は、シリーズ中、怪人二十面相の来歴と本名が明かされている
唯一の本だそうです。


なお、上記「ああ、なんという不覚でしょう」以下の紹介文は、
『怪人二十面相』からぬきだした文章を文体模写したものです。

書きうつしてみて、小学校時代に耽読したシリーズの語り口が
知らず知らずのうちにからだにしみついていたのがよくわかりました。


      ◇     ◇     ◇


『1ねん1くみ1ばんジャンプ!』(後藤竜二/ポプラ社)

シリーズ24作目、1ねん1くみのみんなはなわとびにチャレンジ。
けれどぜんぜんとべないくろさわくんはいじけてしまい...。
あとはお約束の展開がまっている。

ただ、ふだん“くろさわくん”にかこまれているせいか、
本の中のくろさわくんにさいきんパワー不足を感じてしまう。


『ダ・ヴィンチ空を飛ぶ』(オズボーン/メディアファクトリー)

マジック・ツリーハウスの新刊、
ジャックとアニーは「幸せのひけつ」をさがして
15世紀のフィレンツェに行き、レオナルドに出会い...。
あとはお約束の展開がまっている。

こちらもシリーズの24作目になる。


『風の館の物語3』(あさのあつこ/講談社)

1年ぶりの新刊、「風の館」に不気味な人物があらわれ...。
ようやく佳境にはいってきたところで「第四巻につづく」はいただけない。
つづきを読むにはまた1年、待たなくてはならないではないか。

1冊の本として出版するなら、たとえシリーズの一部であったとしても、
その1冊は1冊で完結するものであってほしい、少年探偵団のように。


『「おまえだ!」とカピバラはいった』(斉藤洋/講談社)

講談社の100周年記念「書き下ろし100冊」のうちの1冊。

マンションのぼくの部屋にやってきたマンタに、
ジンベイザメの元気をとりもどしてほしいとたのまれて...。

リクツっぽい、あるいはシニカルな笑いについていけるかどうか。
テーマや教訓を重んじない斉藤らしいおわりかた、好きだなぁ。


『赤毛の女医アン』(福田隆浩/講談社)

田舎の診療所に赴任してきた破天荒な女医。
常識をはずれた言動と、ERばりの的確な医療行為とのミスマッチが
じつは名医かもしれないという思いをいだかせ、
ではなぜこんな田舎にという疑念がふくらんでいく。

...と、おもての主人公である女医を語っていく視点人物が
こちらもこの診療所にやってきたわけありの駆け出し看護士で、
女医を語りつつ自身の心の澱とむきあい再生のきっかけをつかんでいく。

聴覚障害のテニスプレーヤーを描いた『熱風』の著者、
というつながりで読んでみた。文句なしにおもしろい。
ユーモアもたっぷりで、続編がたのしみ。


『トーキョー・クロスロード』(濱野京子/ポプラ社)

  偶然に出会った中学時代の同級生
  休みがちで落第した年上の同級生
  2年間の休学を経て同級生になった中学時代の先輩
  心をゆるせる2人の同級生

恋と友情と挫折と勇気と...なんということはない青春小説だと
思って読みすすめていると、クライマックスシーンに涙がじわり。

『天下無敵のお嬢さま!』の濱野京子、侮るべからず。
いや、
『フュージョン』の濱野京子、ますます意気高し。


『ズッコケ中年三人組age43』(那須正幹/ポプラ社)

縦糸となる殺人事件の犯人を推理しつつ、
“中年”の心のゆれに共感して読んでいるうちに、
裁判員制度のあらましと問題点が自然にわかってしまうという
なんともぜいたくな一冊。

ただ、
「お勤め」が「お務め」になっていたり、
「確率」が「確立」になっているのが2箇所もあったりで、
校正がおそまつ。


      ◇     ◇     ◇


あと何冊か、書名だけ。


★『あした吹く風』(あさのあつこ/文藝春秋)

★『バンカーなんか怖くない』(喜多嶋隆/光文社文庫)

★『心よ高くあがれ』(小塩節/青娥書房)

★『人を生かすキリスト教教育』(船本弘毅/創元社)

★『テレビ番外地』(石光勝/新潮新書)

★『「分かりやすい教え方」の技術』
     (藤沢晃治/講談社ブルーバックス)

★『仕事はストーリーで動かそう』
     (川上徹也/クロスメディア・パブリッシング)

★『VOWにじゅう!』(宝島社)

★『マヌー式 日本人に会わないハワイの遊び方』
     (山下マヌー/廣済堂出版)


2008年に読んだ本、これで270冊あまり。
それでも年間出版点数の0.3%にすぎないが。


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おきてがみ (1)

K-20の母

昨日、妹2人が息子を連れ映画館へ。帰ってくるなり、
「今まで見た映画の中で1番、面白い映画だった~♪」
と興奮気味に嬉しい報告。
「3学期になったら江戸川乱歩読みまくる!」と...

 

おきてがみ


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